令和6年4月から労働条件通知の明示内容が改正されます。
★改正ポイント1
すでに通知済みの労働者に新たなルールで再通知する必要はありません。
★改正ポイント2
労働契約そのものが令和6年4月1日以降に結ばれるものが適用です。
★改正ポイント3
労働契約日は令和6年4月1日でも、契約締結が3月中であれば、改正前のルールで明示してもかまいません。
★改正ポイント4
改正内容は4つ
① (有期契約者)
契約満了時に契約更新上限があるかどうかの明示
② (有期契約者)
無期転換申込機会の明示
③ (有期契約者と無期転換者)
無期転換後の労働条件の明示
④ (全 員)
就業の場所と業務内容の変更の範囲
◆労働条件通知書に関する罰則◆
労働条件通知書を交付しなかったり、従業員の希望に反して電子データで提供したりする行為は、労働基準法違反です。30万円以下の罰金を科せられる恐れがあります。
【 労働条件通知書とは : 労働基準法第15条 】
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
◆基本ルール:明示しなければならない事項◆
労働者が希望した場合は、書面の交付だけでなく、FAX送信・メール送信も可能
従業員からの希望がある
印刷可能な形式である
本人以外に情報が届かない事
※(昇給)を除き、書面を交付して明示する
契約期間
期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
就業の場所及び従事すべき業務
始業・終業の時刻・休憩時間・休日・休暇
賃金、(昇給)
退職に関する事項
※定めを設けた場合、書面を交付して明示する
➡「就業規則●条による」と表記する場合が多い
退職手当
臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)
賞与及び最低賃金額等
労働者に負担させるべき食費、作業用品その他
安全及び衛生
職業訓練
災害補償及び業務外の傷病扶助
表彰及び制裁
休職
【解説:契約期間】
どちらかを明示します。
無期契約(契約期間の定めがない場合)
有期契約(令和6年4月1日~令和7年3月31日)など
❓一回の契約期間の上限は?
➡ 原則として3年
専門的な知識等を有する者、満60歳以上の労働者との労働契約については5年
【解説:期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準】
改正① 契約満了時に契約更新上限があるかどうかの明示
➡ 更新がある場合、上限期限があるかどうかを明示します。
例:契約期間は通算4年を上限とする
例:契約更新回数は3回まで
❓これまで上限を設定していなかった場合は?
➡ 労働者ごとに文書を交付して面談を行います。説明は必要です。
説明の方法は特定の方法に限られるものではなく、
わかりやすい資料を準備して、複数の労働者に同時説明会を
開くことも可能です。
❓1回目に「1年契約で上限2年」と明示した場合、2年目の表現は?
➡ 労働者と使用者の認識が一致するように明示します。
例:契約当初から数えた通算契約期間を明示し、
2回目には「通算2年目」と明示する
改正② 無期転換申込機会の明示
➡ 「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、
無期転換を申し込むことができる旨を書面により明示することが必要になります。
❓無期転換申込権があっても、有期契約のままでいいという労働者にも明示が必要? ➡ 必要です!
改正③ 無期転換後の労働条件の明示
➡ 「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごとに、
無期転換後の労働条件の明示が必要になります。
❓「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングごと?
➡ 初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も
有期労働契約を更新する場合は、更新のたび必要です。
❓「転換後の明示事項」とは?
➡ 労働契約締結の際の明示事項と同じものをいいますが、
「転換後も変更がない」場合は、「変更ない旨」を明示すれば足ります。
「変更がある」場合はその内容を明示します。
⚠ 無期転換後の労働条件は2つのタイミングで必要です
➡ ① 無期転換申込権が生じる契約更新時
② 無期転換申込権の行使による無期労働契約の成立時
⚠ 正社員との均衡を考慮しましょう
➡ 例えば、業務の内容、責任の程度、異動の有無・範囲などにつ いて
説明するよう努めます。
説明の方法は特定の方法に限られるものではなく、
わかりやすい資料を準備して、複数の労働者に同時説明会を
開くことも可能です。
【 無期転換ルールとは : 厚生労働省「無期転換ポータルサイトより」】
同一の企業との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルールのことです。
【解説:就業の場所及び従事すべき業務】
すべての労働者に対し、労働契約の締結時と、有期労働契約の更新時に、書面による明示が必要になります。
改正④ 就業の場所と業務内容の変更の範囲
❓ 「就業場所と業務」とは?
➡ 労働者が通常就業することが想定されている就業の場所と、
労働者が通常従事することが想定されている業務のことを指します。
臨時的な他部門への応援業務や出張、研修等など、一時的に変更される際の、
一場所や業務は含まれません。
❓ テレワークの明示は必要?
➡ 必要です!
その労働契約期間中にテレワークを行うことが通常想定される場合は、
「変更の範囲」として明示します。
具体的には、労働者の自宅やサテライトオフィスなど
❓ 就業場所や業務に限定のない正社員の場合はどうやって明示する?
➡ すべての就業場所・業務を含める必要があります。が、
「会社の定める○○」と記載したり、変更の範囲を一覧表として添付も可能。
【 限定がない正社員の場合:厚生労働省:リーフレットより」】
❓ 就業場所や業務の一部に限定がある場合は?
➡ 一定の範囲に限定されている場合は、その範囲を明確にします。
❓ 在籍出向がある場合は?
➡ 出向先での就業場所や業務が出向元の会社での限定の範囲を超える場合には、
その旨を明示します。
【 一部に限定がある社員の場合:厚生労働省:リーフレットより」】
❓ 変更が想定されない場合は?
➡ 変更がない場合は、その旨を変更の範囲で明確にします。
❓ 一時的に限定がある場合は?
➡ 就業規則等で詳細を定めるようにし、該当箇所を記載するとよいでしょう。
【 一時的な限定がある場合の社員:厚生労働省:リーフレットより」】
労基法だけでない:パート・有期労働法の適用
パートタイム・有期契約労働者・派遣労働者にはさらに明示事項があります!
①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無、④相談窓口
これら4項目も明示しなければなりません。
【サンプル】
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